意味:結婚行進曲とは
結婚行進曲(けっこんこうしんきょく)とは、結婚式(ウェディング)の挙式において、新郎新婦の入場や退場のシーンに合わせて演奏されるお祝いの楽曲のことです。
「結婚行進曲」と聞いて多くの人が思い浮かべるメロディーには、実は大きく分けて2つの有名なクラシック音楽が存在します。一つはワーグナー作曲の「婚礼の合唱」、もう一つはメンデルスゾーン作曲の「結婚行進曲」です。キリスト教式の挙式では、この2曲を「入場」と「退場」で使い分けるのが世界的な伝統となっています。現代のウェディングにおいても、パイプオルガンの生演奏などで頻繁に使用され、神聖で感動的な雰囲気を演出する上で欠かせない音楽です。
結婚行進曲の詳細解説
「パパパパーン」と「タタタターン」、どちらも聴き馴染みのあるメロディーですが、実は作曲者も作られた背景も全く異なります。それぞれの曲の特徴や使い分けのルール、そしてなぜこれほどまでに定番となったのかという歴史的背景について詳しく解説します。
1. ワーグナーの「婚礼の合唱」(入場曲の定番)
「パパパパーン」という華やかなファンファーレのようなメロディーで始まるのが、ドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーが作曲した「婚礼の合唱(Treulich geführt)」です。
- 由来: 1850年に初演されたオペラ『ローエングリン』の第3幕で、主人公の騎士ローエングリンとヒロインのエルザが結婚し、寝室へと案内されるシーンで歌われる合唱曲です。
- 使用シーン: 新婦が父親(またはエスコート役)と共にバージンロードを歩く**「入場」**のシーンで演奏されるのが最も伝統的な使い方です。
2. メンデルスゾーンの「結婚行進曲」(退場曲の定番)
「タタタターン、タタタターン」という力強く軽快なリズムで始まるのが、ドイツの作曲家フェリックス・メンデルスゾーンが作曲した「結婚行進曲(Hochzeitsmarsch)」です。
- 由来: 1843年に完成した劇音楽『夏の夜の夢』(シェイクスピアの戯曲が原作)の中で、3組のカップルの合同結婚式を祝福するシーンで演奏される楽曲です。
- 使用シーン: 挙式が無事に結び、夫婦となったお二人が揃ってバージンロードを歩いていく**「退場」**のシーンで使用されるのが定番です。晴れやかで希望に満ちたメロディーが、新しい門出にぴったりです。
3. なぜこの2曲が世界的な定番になったの?
数あるクラシック音楽の中で、なぜこの2曲が「結婚行進曲」の絶対的な定番として世界中に広まったのでしょうか。そのきっかけは、イギリス王室の結婚式にあります。
1858年、当時のイギリス国王であったヴィクトリア女王の長女(ヴィクトリア王女)と、プロイセン(現在のドイツの一部)の王子フリードリヒとの結婚式が執り行われました。ヴィクトリア王女は大の音楽好きであり、自身の結婚式のために自らこの2曲を選びました。入場にワーグナーを、退場にメンデルスゾーンを採用したこの王室の華やかな結婚式が当時の新聞などで大々的に報じられ、それを機にヨーロッパの一般市民の間でも同じ曲を流すスタイルが大流行し、現在まで続く世界的なスタンダードになったと言われています。
4. 現代のウェディングにおける取り入れ方
現代の日本の結婚式でも、キリスト教式(教会式)を選ぶ場合は、この伝統的な2曲がパイプオルガンによって生演奏されるケースが非常に多く見られます。
一方で、宗教的な形式にとらわれない「人前式」や、披露宴での入場・退場のシーンでは、クラシックの原曲ではなく、ポップスやジャズ調にアレンジされたカバーバージョンをBGMとして流したり、お二人の好きなアーティストの楽曲を「自分たちだけの結婚行進曲」として選んだりするスタイルも人気です。