結婚式には多くのマナーがありますが、「なんとなく知っている」と「理由まで理解している」では実際の場での応用力が大きく変わります。また「昔からNGと言われていたが今は変わりつつあるもの」「絶対NGと緩和されたNGの違い」を知っておくことで、不必要に心配しすぎることもなくなります。
この記事では服装・持ち物・振る舞い・言葉・SNSの5カテゴリに分けて、各NGの理由まで丁寧に解説します。
NGの3段階を理解する
結婚式のNGには強さのグラデーションがあります。
区分 | 意味 |
絶対NG | 新郎新婦・両家・他のゲストへの明確な失礼にあたる行為。社会的なマナー違反 |
できれば避けたい | 気にする人がいるため、配慮として避けるのが望ましいもの |
昔はNGだが今は緩和されつつある | 価値観の変化により、式の格式や状況によってはOKになっているもの |
この記事では各項目に区分を明記します。
カテゴリ1:服装のNG
白・白に近い色(絶対NG)
なぜNGなのか
白は日本の結婚式において「花嫁だけの色」として定着しています。これはウェディングドレスの白が純潔・新たな出発を象徴する色とされてきたことに由来します。ゲストが白い服を着ることは、主役の花嫁の存在感を損なう行為として受け取られます。
淡いベージュ・パステルイエロー・シルバーも会場照明によって白っぽく映ることがあるため注意が必要です。どうしても薄い色を選ぶ場合は、バッグや羽織ものに濃い色を合わせて全体が白っぽく見えないよう調整しましょう。
ファー素材・アニマル柄・革製品(絶対NG)
なぜNGなのか
ファーや毛皮・アニマル柄は「生き物の殺生を連想させる」という理由でおめでたい場には不適切とされてきました。これは日本の慶事における「命を傷つけることを忌む」という文化的価値観に基づくものです。また食事の場である披露宴では毛が料理に入る衛生上の懸念もあります。
フェイクファー・人工素材のアニマル柄であっても見た目が本物と区別しにくいため、同様に避けるのがマナーです。
全身黒コーデ(絶対NG)
なぜNGなのか
黒そのものは結婚式でもフォーマルな色として使用できます。問題になるのは「全身を黒でまとめた状態」で、喪服・弔事のイメージと重なり、祝いの場にそぐわない印象を与えます。
黒のドレスを選ぶ場合は、明るい色の羽織ものやアクセサリー・カラフルなバッグを合わせて全体に華やかさを加えましょう。
過度な露出(絶対NG)
胸元が大きく開いたデザイン・ミニ丈(膝上10cm以上)・背中の大きく開いたデザインは昼間の式では不適切です。昼の結婚式では清潔感と上品さが基準となります。肩出しのドレスはボレロやショールで肩を覆いましょう。
ただし夜の披露宴では基準が緩和され、肩出しや華やかなイブニングドレスが適切とされる場合もあります。
親族用着物のゲスト着用(できれば避けたい)
留袖(黒留袖・色留袖)は親族・近親者の装いとして認識されています。友人・同僚ゲストが留袖を着ると立場と装いが合わない印象を与えることがあります。ゲストとして和装を選ぶ場合は振袖・訪問着・付け下げが適切です。
昔はNGだが今は緩和されつつあるもの
パンツスタイルは以前「ビジネス的で礼装ではない」とされていましたが、現代ではフォーマルな素材と華やかな組み合わせであれば問題ないとされる場合が多くなっています。ただし格式の高い式や主賓・親族としての参列では引き続き慎重に判断を。
黒いドレスも以前より許容されてきており、全身黒を避けてアクセサリーなどで華やかさを加えれば問題ないとする認識が広まっています。
カテゴリ2:持ち物・アクセサリーのNG
腕時計(できれば避けたい)
なぜNGなのか
腕時計をつけていることは「時間を気にしている」「早く帰りたがっている」と解釈されるとして、改まった場ではNGとされてきました。この考え方は「ゲストとして招かれた以上、時間にとらわれず心から祝福を」という姿勢を表すものです。
現代ではこれを厳格に守る必要はないという見方も増えていますが、格式の高い式では控えるのが無難です。
ティアラ・花冠・生花を使ったヘアアクセサリー(絶対NG)
なぜNGなのか
ティアラや花冠は花嫁の装いの象徴です。ゲストがこれらを身につけると花嫁と競合する印象を与えます。特に生花はブーケや花嫁のヘアアクセサリーと直接かぶる可能性があります。
大きすぎるバッグ・紙袋の持ち込み(絶対NG)
披露宴会場へは小ぶりのパーティバッグが基本です。荷物が多い場合はクロークに預け、必要最低限のものだけをパーティバッグに入れて入場します。
どんなに高級なブランドの紙袋であっても、会場内への持ち込みはカジュアルな印象を与え、フォーマルな場には不適切です。
コート・防寒着の会場内持ち込み(絶対NG)
コート類は会場入口のクロークに必ず預けます。コートを着用したまま式に参加することはマナー違反です。
ご祝儀袋の水引の種類(知らずにやってしまいがちなNG)
なぜNGなのか
出産・昇進など「何度繰り返してもよい慶事」には蝶結びの水引を使いますが、結婚式は「一度きりであるべき慶事」のため、「結び切り」または「あわじ結び」の水引を選ぶ必要があります。蝶結びは「再婚を連想させる」として結婚式のご祝儀袋には不適切です。
カテゴリ3:振る舞いのNG
遅刻(絶対NG)
遅刻は料理・引き出物・席次などすべてが「出席する予定」で準備されているため、当日のすべての段取りに影響します。式の15分前には会場に到着し、受付を済ませておくのが基本です。
やむを得ず遅刻する場合は、式場に直接連絡を入れます(新郎新婦本人への連絡は準備で忙しいためNG)。到着後は慌てて会場に飛び込まず、スタッフの指示に従って入場します。
挙式中・スピーチ中のスマートフォン操作(絶対NG)
式の最中に着信音が鳴ることは場の雰囲気を壊します。入場前にマナーモードに設定することは必須です。また、スピーチ中や感動的な場面でスマートフォンをいじる行為は失礼にあたります。
過度な飲酒・酔っぱらい行動(絶対NG)
披露宴でのお酒はゲストへのおもてなしの一環です。限度を超えて飲み、進行の妨害や他のゲストへの絡みなど、場の雰囲気を損なう行為は厳禁です。
他のゲストや新郎新婦への噂話(絶対NG)
会場内・ロビー・化粧室など、同じ式の参列者が近くにいる場所での噂話や批評は、思いがけず本人の耳に入る可能性があります。
お酌してまわる行為(できれば避けたい)
なぜNGなのか
披露宴では飲み物の提供は式場スタッフが担当します。ゲストが席を離れてお酌してまわることは「サービス担当でないゲストが動き回ること」として、会場の進行や他のゲストの邪魔になる場合があります。近しい仲であっても、席を離れた行動は控えめにしましょう。
お開き直後の急な退場(できれば避けたい)
お開きのアナウンス後、すぐに席を立って出口へ向かう行為は「早く帰りたがっている」という印象を与えます。周りのゲストの動きを見ながら、適切なタイミングで席を立ちましょう。
カテゴリ4:言葉のNG(忌み言葉・重ね言葉)
忌み言葉とは
忌み言葉とは、結婚式のスピーチ・挨拶・招待状返信のメッセージなど、婚礼にまつわる言葉のやり取りで使用を避けるべき言葉です。背景には日本の言霊信仰(言葉には霊的な力が宿り、口にした言葉が現実に影響を与えるという考え方)があります。
別れ・不幸を連想させる言葉(使用禁止)
切る・別れる・離れる・終わる・消える・壊れる・破れる・去る・失う・倒れる・戻る・閉じる・泣く・悲しい・苦しい・病気・亡くなる
重ね言葉(再婚を連想させるため禁止)
重ね重ね・たびたび・くれぐれも・しばしば・またまた・ますます・次々・ふたたび・繰り返し
言い換えの例
避けるべき表現 | 言い換え例 |
「困難を乗り越えて」 | 「どんな場面でも力を合わせて」 |
「たびたびお世話になりました」 | 「いつもお世話になっています」 |
「涙が出るほど感動した」 | 「心から感動しました」 |
「別れがたい友人」 | 「かけがえのない友人」 |
カテゴリ5:SNS・写真のNG
許可なく顔が映った写真をSNS投稿すること(絶対NG)
結婚式は新郎新婦が選んだゲストのみを招いた、プライベートな場です。顔が映った写真を無断でSNSに投稿することで、式に招待されていない人にまで情報が拡散し、新郎新婦が意図しない公開につながる場合があります。
投稿の前に新郎新婦への確認、または新郎新婦や他のゲストの顔が映らないように配慮することがマナーです。式場によっては当日司会者からSNS投稿についてのアナウンスがある場合もあります。
挙式中・厳粛な場面での撮影(できれば避けたい)
挙式(チャペル・神前)では、プロカメラマン・式場スタッフが撮影しています。ゲストが手持ちのスマートフォンやカメラで撮影する行為は、式の雰囲気を損なったり、他のゲストや記録映像の邪魔になることがあります。
特に神前式では挙式中の写真撮影が制限されている場合があります。事前に式場または招待状で確認しましょう。
見落としがちな「知らずにやってしまうNG」まとめ
NG項目 | 見落としポイント |
白っぽい薄ベージュ | 室内照明で白く見えることがある |
ご祝儀袋の水引が蝶結び | 「繰り返してよい慶事」用の水引は結婚式に不適切 |
黒いストッキング | 喪服連想のためベージュ・ナチュラルカラーが基本 |
フラットシューズ・スニーカー | フォーマルな場には不向き。ヒールのあるパンプスが基本 |
素足で参列 | ストッキング着用が基本マナー |
オープントゥパンプス | 足の指を隠すのが正装の基本 |
紙袋を会場に持ち込む | 高級ブランドの袋であってもクロークに預ける |
腕時計 | 格式の高い式では「時間を気にしている」と解釈される場合がある |
ティアラ・大ぶりの花モチーフ | 花嫁の装いと重なる可能性がある |
スマートフォンをマナーモードに設定しない | 着信音が鳴ると式の雰囲気を壊す |
よくある質問
Q. 黒いドレスは絶対にNGですか?
全身黒でなければNGではありません。黒のドレス自体はフォーマルな色として認められていますが、全身が喪服のような印象にならないよう、明るい羽織ものやカラフルなアクセサリー・バッグを合わせる工夫が必要です。
Q. フェイクファーも避けるべきですか?
見た目が本物と区別しにくいため、同様に避けるのが無難です。「フェイクだから問題ない」という理由は通じにくく、周囲の印象はデザインで決まります。
Q. 白系のコートを着ていくのはNGですか?
クロークで預ける前提であっても、白っぽいコートは入口・帰宅時に花嫁の目に触れる可能性があるため避けた方が無難です。
Q. 腕時計はどのくらいNGですか?
「絶対NG」というほど厳格ではなく、現代では気にしない人も増えています。ただし格式の高い式や主賓・親族として参列する場合は外しておく方が安心です。
Q. SNSに写真を投稿するのは全面NGですか?
式場全体・景色など人の顔が映らないものは比較的問題になりにくいですが、顔が映った写真を無断投稿することは避けましょう。新郎新婦からのアナウンスがあった場合はその方針に従います。