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    授乳フォトの歴史と由来|いつから始まった?宗教画「聖母子像」から現代の「ブレルフィー」ブームまで

    作成日時
    Mar 26, 2026 5:35 AM
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    【ざっくり解説】授乳フォトは「最古の肖像」の一つだった

    現代では「SNS映え」や「記念写真」として扱われる授乳フォトですが、そのルーツは数千年前にまで遡ります。

    • 起源: 古代エジプトのイシス女神や、キリスト教の「授乳の聖母(マリア・ラクタンス)」など、宗教画において「授乳」は神聖な母性の象徴として描かれ続けてきました。
    • 断絶: 近代に入り、粉ミルクの普及や胸の性的対象化が進むにつれ、授乳は「隠すべき行為」とされ、表舞台から姿を消しました。
    • 復活(現代): 2010年代、海外セレブによる投稿やWHO(世界保健機関)の母乳育児推奨運動をきっかけに、「授乳を隠さなくていい(Normalize Breastfeeding)」というメッセージと共に、記念写真としての地位を確立しました。

    第1章:神聖なシンボルとしての「授乳」

    授乳フォトの歴史を語る上で、芸術(アート)の歴史は避けて通れません。かつて、授乳する姿は「見せてはいけないもの」ではなく、「信仰の対象」でした。

    聖母子像(Madonna Lactans)

    中世ヨーロッパからルネサンス期にかけて、聖母マリアが幼子イエスに母乳を与える姿は頻繁に描かれました。これを「授乳の聖母」と呼びます。 当時は、母乳が「生命を与える神聖な液体」と考えられており、慈愛の象徴として多くの教会に飾られていました。この時代、授乳姿を記録に残すことは、最高級の敬意表現だったのです。

    日本の浮世絵

    日本でも、江戸時代の浮世絵(歌麿など)には、着物をはだけて授乳する母親の姿が「日常の風景」として数多く描かれています。かつての日本において、授乳は恥ずべきことではなく、生活の一部として大らかに捉えられていました。

    第2章:なぜ授乳は「隠すもの」になったのか?

    20世紀に入ると、状況が一変します。主に2つの要因が、授乳姿を写真や絵に残す文化を衰退させました。

    1. 粉ミルクと哺乳瓶の普及: 科学的な育児(人工乳)が先進的でもてはやされ、母乳育児が「古い」「貧しい」という偏見を持たれた時代がありました。
    2. 胸の性的対象化(セクシャル化): 女性の胸が母性の象徴から「性的なシンボル」として消費される傾向が強まり、公共の場での授乳や、その姿を見せることが「猥褻(わいせつ)」「マナー違反」とされる風潮が欧米を中心に広まりました。

    これにより、授乳フォトは長い間、プライベートなアルバムの中にさえ残らない「暗黒時代」を迎えます。

    第3章:2010年代「ブレルフィー」ブームとSNS革命

    現代の「授乳フォトブーム」の火付け役となったのは、間違いなくInstagramなどのSNSと海外セレブです。

    「ブレルフィー(Brelfie)」の誕生

    2013年頃から、海外でBreastfeeding(授乳)とSelfie(自撮り)を組み合わせた造語「Brelfie(ブレルフィー)」が流行しました。

    • きっかけ: スーパーモデルのジゼル・ブンチェンやミランダ・カーが、メイク中に授乳している美しくパワフルな写真を投稿。これが「授乳は働く女性にとっても自然なこと」「美しいこと」という認識を広めました。
    • 社会運動として: 当時、FacebookやInstagramでは、授乳写真が「ヌード画像」として削除される検閲が行われていました。これに対し、「#FreeTheNipple(乳首を解放せよ)」や「#NormalizeBreastfeeding(授乳を当たり前のことに)」というハッシュタグと共に、抗議の意味を込めて授乳フォトを投稿するムーブメントが世界中で巻き起こりました。

    この流れが、単なる「抗議」から、次第に「母子の絆を残すアート」へと変化し、一般のママたちにも広がっていきました。

    第4章:日本における「授乳フォト」の浸透

    日本での授乳フォトの普及は、海外とは少し異なる文脈で進みました。

    「卒乳・断乳」の記念として

    日本では社会運動というよりは、「卒乳(断乳)へのカウントダウン」というセンチメンタルな文脈で流行しました。 2015年頃から、一軒家型のハウススタジオや、ママカメラマン(ママフォトグラファー)が増加。「見せるため」ではなく、「忘れないため」の個人的な記録として定着しています。

    年表で見る授乳フォトの変遷

    年代
    欧米の動き
    日本の動き
    特徴
    〜19世紀
    宗教画(聖母子像)として崇拝対象
    浮世絵などで日常風景として描写
    「神聖」「日常」
    20世紀
    公共の場での授乳がタブー視される
    粉ミルク普及、授乳は隠すものへ
    「衰退」「隠蔽」
    2013年頃
    ジゼル・ブンチェン等のセレブが投稿
    ブログなどで一部のママが公開
    「ファッション」「発信」
    2015年頃
    「#Brelfie」という言葉が誕生 検閲への抗議運動が活発化
    スタジオ撮影のメニューに登場し始める
    「権利主張」「ブーム」
    現在
    アート写真として定着
    卒乳記念の定番イベント化
    「記録」「絆」

    歴史から見るトラブルの火種:SNSでの「賛否両論」

    授乳フォトの歴史は、常に「称賛」と「批判」の戦いでした。現在でもSNSで見られるトラブルや批判の声は、この歴史的背景(特に20世紀のタブー視)を引きずっています。

    SNSで見られる批判・失敗の声(歴史的な価値観の衝突)

    【X(旧Twitter)】「公共の場で見せない配慮をしてるのに、ネットで見せびらかすのは矛盾してる」(批判的な意見の傾向)→ 「授乳=排泄と同じプライベートな行為」と捉える層と、「授乳=食事と同じ自然な行為」と捉える層の価値観の対立です。
    【Instagram】「運営に削除された」(投稿トラブル)→ アートとして撮影しても、AI判定によって「性的コンテンツ」と誤認され、アカウントが凍結されるリスクが現在も残っています。
    【知恵袋】「旦那に『俺だけのものだ』と反対された」→ 胸を「母性の象徴」と見るか「性的対象」と見るかの、歴史的な視点のズレが家庭内でも起きています。

    【対策】歴史を踏まえた「現代のスマートな残し方」

    授乳フォトは、数千年の歴史を持つ「母子の愛の記録」です。しかし、ネット社会特有のリスクもあります。 トラブルを避け、純粋に歴史ある「聖母子像」のような美しい写真を残すためのポイントです。

    1. 「公開」と「記録」を分ける SNSに投稿することだけが目的ではありません。歴史上の絵画がそうであったように、本来は「家族のための記録」です。撮影したデータは、フォトブックやアルバムに閉じ込め、家族だけで楽しむのが最も贅沢で安全な楽しみ方です。
    2. アート(芸術)に昇華させる 生々しさを消すことがポイントです。
      • シルエット撮影: 逆光を使い、影だけで表現する。
      • パーツ撮影: 赤ちゃんの口元や手、ママの横顔だけを切り取る。
      • モノクロ撮影: 肌の色味を消すことで、ヌード感を減らし、神聖な雰囲気を出す。
    3. スタジオ選びは「価値観」で 単に「撮れます」というだけでなく、授乳フォトのデリケートさや、美しく見せるライティング技術(マタニティフォトやニューボーンフォトの実績)を持ったカメラマンを選ぶことが重要です。

    授乳フォトは、一過性の流行ではなく、古代から続く「母性の記録」の現代版です。周囲のノイズに惑わされず、お子様との尊い時間を形に残してください。