お宮参りで赤ちゃんを抱っこするのは誰?伝統的に父方の祖母が担ってきた理由と、母親・父親・両家の祖父母など現代の多様なパターン、双子の場合の抱き方、両家トラブルを避ける具体策まで分かりやすく解説します。

お宮参りは、赤ちゃんの誕生を氏神様に報告し、健やかな成長を祈願する日本の伝統行事です。その日に赤ちゃんを抱っこする役割は、古くは「父方の祖母」が担うというしきたりがありました。
しかし現代では、形式に縛られず、お母さま・お父さま・両家の祖父母など、ご家族のスタイルに合わせて自由に選ばれています。
この記事では、「なぜ父方の祖母が抱っこするのか」という由来から、現代の抱っこパターン、双子の場合の抱き方、両家トラブルを避けるコツ、抱っこする人を決めるときのポイントまで、お宮参りの抱っこに関する疑問をまとめて解説します。
お宮参りの抱っこは誰がしても問題ない
伝統的なしきたりでは、赤ちゃんを抱っこするのは父方の祖母(夫の母)の役割とされてきました。ただし、これは現代の価値観とは異なる昔の考え方にもとづくものです。
現代では、お母さま・お父さま・母方の祖母・祖父など、誰が抱っこしても問題ないと考えられています。実際に神社を訪れてみると、ご両親が抱っこしているご家族も非常に多く見られます。
もっとも大切なのは「誰が抱くか」そのものよりも、産後のお母さまの体調に配慮し、ご家族みんなが納得して笑顔で一日を過ごせることです。
昔のしきたりで「父方の祖母」が抱っこしていた3つの理由
「赤ちゃんを産んだのは母親なのに、なぜ祖母が抱っこするの?」と不思議に思う方もいるかもしれません。これには、古来の「穢れ(けがれ)」の考え方と、日本の家制度が深く関係しています。
1. お産の「穢れ」を神様に持ち込まないため
昔の日本には、出血を伴う出産を「穢れ(けがれ)」とする考え方がありました。ここでいう穢れは「汚い」という意味ではなく、「気枯れ(生命力が弱まっている状態)」を指すとされています。
お宮参りは産後1ヶ月頃に行われますが、当時の考えでは「母親はまだ穢れが残っている期間(忌み期間)」と見なされていました。そのため、神様の前に出る儀式では、母親ではなく、忌み期間のない「父方の祖母」が代わって抱っこをするという役割分担が生まれたといわれています。
2. 「家の跡取り」としての報告
かつての家制度のもとでは、子どもは「〇〇家の跡取り」として認識されていました。
そのため、「父方の家系(内孫)」であることを氏神様に報告するために、その家を代表する父方の祖母が抱くのが筋とされていたのです。
3. 産後の母親を休ませるため
産後1ヶ月は「産後の肥立ち」と呼ばれる回復期間にあたります。本来は床上げをして間もない母親が、重い赤ちゃんを抱いて長時間外出するのは体への負担が大きいものです。
「お嫁さんは体を休めて」という周囲の配慮から、祖母が抱っこを担当したという説もあります。
現代のお宮参りで抱っこする人とそれぞれのメリット
時代とともに「穢れ」の概念は薄れ、核家族化も進みました。現代のお宮参りでは、抱っこをする人は以下のパターンに分かれます。
抱っこする人 | 特徴・メリット |
母親 | 現代でもっとも多いパターンです。母乳育児の場合、赤ちゃんがぐずった時にもすぐ対応でき、「自分で抱きたい」という気持ちを叶えられます。 |
父親 | スーツの上から祝い着をかけると安定感があり、長時間の抱っこでも頼りになる存在です。お母さまの体調を気遣って父親が抱っこするご家庭も増えています。 |
父方の祖母 | 伝統を重んじるご家庭で選ばれるパターンです。父方の祖母が楽しみにしているケースも多く、形式を大切にするなら自然な選択肢です。 |
母方の祖母 | 遠方から来られた場合や、娘(お母さま)の体調をサポートするために実母が抱くケースも増えています。父方・母方にこだわらないご家庭も多くなりました。 |
祖父 | 祖母が遠方・体調不良などで参加できない場合や、男性側の家族写真を重視するご家庭で選ばれます。 |
双子のお宮参りでは誰が抱っこする?
双子の赤ちゃんのお宮参りでは、「2人の赤ちゃんを誰がどう抱っこするか」という新たな悩みが出てきます。
伝統を踏まえた双子の抱き方
昔の風習どおりに考えると、父方の祖母が1人ずつ順番に抱く、または両方を交代で抱くパターンもあります。ただし長時間の抱っこは負担が大きいため、現代では両家の祖母が1人ずつ抱くパターンが一般的です。
家族構成別の現実的なパターン
- 両家の祖母が参加:父方の祖母と母方の祖母が1人ずつ抱く
- 祖母が1人だけ参加:祖母とお母さまで分担する
- ご両親だけで参拝:お父さまとお母さまが1人ずつ抱く
どのパターンを選ぶにしても、ご祈祷や記念撮影の場面で慌てないよう、事前に役割を決めておくのが安心です。
双子用抱っこひもの活用
長時間の抱っこが難しいご家族には、双子用の抱っこひもを活用する方法もあります。移動や待ち時間は抱っこひもで負担を減らし、ご祈祷や記念撮影の場面だけ抱っこに切り替えると、赤ちゃんとご家族双方の負担を軽減できます。
両家トラブルを避けるためのケース別対処法
お宮参りの抱っこ問題は、意外と根深い「嫁姑トラブル」や「両家の確執」に発展しやすいポイントです。「自分が抱っこしたかったのに譲らざるを得なかった」「義母を立てなかったら不機嫌になった」といった事態を避けるために、事前の対策を押さえておきましょう。
ケース1:義母(父方の祖母)が伝統を重んじるタイプの場合
義母が「私が抱っこするもの」と考えている場合、無理にお母さまが抱っこしようとすると角が立ちやすくなります。
対処法:「ご祈祷中」と「記念撮影(集合写真)」だけ義母にお任せするのが円満な解決策です。「しきたり通り、一番大事な場面はお義母さんにお願いします」と立てつつ、移動中や待ち時間は「重いでしょうから」と声をかけてご両親が抱っこすれば、全員が納得しやすく、お母さまの体調面でも安心です。
ケース2:母方の祖母(実母)も参加する場合
両家の祖母が参加する場合、どちらが抱っこするかで気まずくなることがあります。
対処法:基本的には「父方の祖母」に譲るのがマナーとされていますが、母方の祖母が遠方から来ているケースも少なくありません。「行きは父方の祖母、帰りは母方の祖母」と交代制にするか、カメラマンに依頼して「それぞれが抱っこしたツーショット写真」を撮ってもらう時間を設けると、両家の満足度が高まります。
ケース3:着物(祝い着・産着)と抱っこの関係
赤ちゃんにかける「祝い着(初着)」は、抱っこしている人の背中で紐を結びます。つまり、抱っこする人は「祝い着を羽織っているように見える人」になります。
対処法:お母さまが洋装(スーツやワンピース)で、祖母が着物(留袖など)を着てくる場合は、着物を着ている祖母が抱っこした方が祝い着との相性が良く、写真映えするケースがあります。逆にお母さまが着物を着るなら、お母さまが抱っこした方が統一感が出ます。当日の服装と合わせて相談するのも一つの方法です。
抱っこする人を決めるときの3つのポイント
1. 事前にご家族で相談しておく
当日になって「誰が抱っこするか」で揉めると、せっかくの一日が台無しになりかねません。義母や親戚の考え方を事前に確認しておくのが、トラブル回避の第一歩です。ご主人を通じてさりげなく意向を聞いておくと、当日の調整がスムーズになります。
2. 赤ちゃんの機嫌・体調を優先する
しきたり通りに決めていても、当日赤ちゃんが特定の人に抱かれて泣いてしまうことはよくあります。授乳のタイミングや機嫌によっては臨機応変に、お母さまに交代するなど柔軟に対応しましょう。
3. 「ご祈祷」「記念撮影」「移動」で役割を分担する
1人が抱きっぱなしではなく、場面ごとに抱っこする人を変えるのも効果的です。
- ご祈祷:父方の祖母(または代表者)
- 記念撮影:場面ごとに交代して、両家それぞれのカットを残す
- 移動・待ち時間:ご両親や若い世代が中心に担当
このように役割を分けると、伝統への配慮とご家族全員の思い出作りを両立できます。
まとめ:抱っこする人に「正解」はない
- 昔のしきたり:父方の祖母が抱っこ(お産の穢れを避けるため)
- 現代:誰が抱っこしても問題なし
- 双子の場合:両家の祖母が1人ずつ抱くパターンが一般的
- 円満のコツ:事前に義母や親戚の意向を確認し、「ご祈祷の時だけお願いする」など柔軟に役割分担する
誰が抱っこしたとしても、赤ちゃんの健やかな成長を願う気持ちはみな同じです。形式にとらわれすぎず、ご家族みんなが気持ちよく過ごせる形で、素敵な一日をお迎えください。
記念撮影でそれぞれが抱っこしたカットを残しておけば、ご家族みんなの「大切にしたい気持ち」を形として残すことができます。
