
子どもの運動会は、一年に一度の大切な晴れ舞台。全力で走る姿、仲間と息を合わせる団体競技、ゴール直前の表情——そんな一瞬一瞬を写真に残したいと思うのは、どの保護者の方も同じはずです。
しかし、いざカメラを構えてみると「ぶれてしまう」「他の子に被ってしまう」「ピントが合わない」といった悩みが出てきます。この記事では、現役カメラマンの視点から、撮影場所の選び方・カメラの設定・おすすめ機材まで、運動会撮影で押さえておきたいポイントをまとめました。一眼カメラをお持ちの方はもちろん、スマートフォンで撮影される方にも役立つ内容です。ぜひ当日の参考にしてください。
お子さんの出るタイミングと内容を確認し、撮影ポイントを決める
事前に運動会のプログラムを確認し、ご自身の子さんが出場するタイミングにチェックを入れましょう。
また、プログラムによってベストポジションは変わってきます。プログラムごとのベストポジションは次のとおりです。
競技別の場所取りと撮り方ポイント
競技別の撮影ポイントを紹介します。ただし、撮影当日は子どもの誘導をする先生方などや卒業アルバム用の学校カメラマンの方がグラウンド内を様々動いているはずです。
運動会当日は、スタッフの方の動きも確認しながら、同じく場所取りをしている他の保護者の方とも意思疎通をとり、臨機応変に対応するとよいでしょう。
また、安全とマナーのために以下の点にもご注意ください。
- 走線・スタートライン付近への立ち入りは避ける
- カメラを高く掲げる際は、前後左右の方への支障がないか確認する
- 立ち位置を変えたいときは、競技の合間や整理体操のタイミングを活用する
50m走・かけっこ・徒競走の撮り方
直線を走る競技であれば、撮影ポイントは以下のとおりです。
スタート地点付近
スタート地点のすぐ近くの場合、撮れる写真や映像やスタート直前のものとなりますので、走っている瞬間を収めることは難しいです。躍動感のある走っている写真を撮影するには不向きと考えましょう。
スタート地点のすぐ横ですと子どもたちが横に並んでいる関係から他の走者が被ってしまうことを考えられます。(ご自身のお子さんが客席側の端である場合を除きます)
その点を考えると、スタート地点より少しゴールよりの地点が良いでしょう。スタート直前の緊張感のある様子と、スタート直後の走っている様子を撮影することができます。スタート直後であれば他の走者が被ってしまう確率も低いです。
コースの中央付近(おすすめしません)
この地点は撮影場所としてはおすすめしません。ご自身のお子さんよりも足が早い子が客席側を走っていた場合、足の早い子がご自身のお子さんに被ってしまう場合が高いです。
ゴール付近(おすすめ)
おすすめな撮影場所はゴール付近です。可能であればご自身の子さんが事前にどのレーンを走るかを確認し、そのレーンの正面付近で待ち構えていれば、正面からの撮影なので他のお子さんが被る可能性も少ないです。
ただし、ゴール付近の場合学校の先生方や学校のカメラマンさんが撮影場所としている可能性が高いです。事前にそれを確認して、お子さんが被らないようなベストポジションを見つけましょう。
うまく場所を取ることができれば、走っている様子とゴール直前の顔の表情などを撮影することができます。
リレーの撮り方
カーブのあるリレーの撮影は、カーブ付近で撮影することで躍動感のある写真を撮影することができます。
リレーの撮影に関しては他のお子さんが被るかどうかは運の要素がとても高いのですが、スタート地点以外では散り散りになっているケースが多いので、撮影はしやすいと思います。
向く方法が決まっている団体競技(組体操等)の撮り方
組体操など、事前にお子さんの向く方向が決まっている場合にはお子さんの組の近くに陣取るとよいでしょう。一言組体操と言っても様々な動きをすると思いますので、必ずしもお子さんの組のど真ん中である必要はありません。
ただし、あまりにも鋭角な場合は、他のお子さんが被ってしまうことが考えられますので、その点は注意が必要です。
グラウンドの内側を向きやすい団体競技(玉入れ・棒倒し・騎馬戦等)の撮り方
団体競技は概ね、お子さんが向く方向は明確には決まっていないケースが多いです。
正直これらの撮影の場合、どこから撮影しても他のお子さんは映り込みますし、ご自身の子さんの表情を捉えることは難しいです。
この場合、ベストポジションに入ることができるのは学校から依頼を受けているスクールカメラマンだけですので、ファインダーを覗きながら「もし良いタイミングがあれば写真を撮ろう」といった程度で構えておくとよいでしょう。
撮影アングルと構図のコツ
撮影場所が決まったら、アングルと構図を意識するだけで仕上がりが大きく変わります。
- ローアングルで撮る:カメラを膝くらいの高さに下げると、子どもの顔が大きく写り、躍動感が増します。
- 走ってくる方向の斜め前から:真横ではなく、お子さんが向かってくる方向の斜め前で待ち構えると、自然な遠近感とスピード感が出ます。
- 背景を整理する:看板や人だかりが写り込まない場所・アングルを選ぶと、仕上がりがすっきりします。撮る前にファインダーで背景を一度確認する習慣をつけましょう。
カメラの設定

動きの早い被写体を捉える場合、シャッタースピード優先かスポーツモードで撮影することをおすすめします。スポーツモードの場合、カメラが最適なシャッタースピードを自動的に割り出してくれます。
シャッタースピード優先で撮影する場合の目安は以下のとおりです。お子さんの学年や競技の速さに合わせて調整してください。
撮影シーン | 目安のシャッタースピード |
保育園・幼稚園の徒競走 | 1/500秒前後 |
小学生以上の徒競走・リレー | 1/800〜1/1000秒 |
曇り・望遠レンズでの撮影時 | 1/800〜1/1000秒(さらに速めに) |
絞り(F値)は、F5.6〜F8程度がバランスの良い設定です。F値が小さいほど背景がぼけやすく、F値が大きいほどピントの合う範囲が広くなります。複数の子どもが写る構図では、F5.6〜F8程度に設定しておくとボケすぎず全体がきれいに写ります。
連写モードも必ず活用しましょう。動きの早い被写体を撮影するときは、一枚ずつ「手や足のバランスが良いか?」「瞬きはしていないか?」などを確認しながら選ぶ余裕はありません。連写で多めに撮っておき、その日のうちにパソコンやスマホで見直して良いカットを選びましょう。
シャッターを切っている間に意識することは、ファインダーの中にきちんと被写体が入っているかと、できるだけ長く被写体を追い続けることです。望遠レンズで走っているお子さんを追う場合は、AFモードを追尾AF(AF-C)に設定しておくと、動きに対してピントが追従しやすくなります。
レンズの手ぶれ補正はオンにして、ISO感度はオートで問題ありません。
スマートフォンで撮影する場合のポイント
一眼カメラがなくても、スマートフォンで十分な写真を残せます。以下の点を押さえておきましょう。
項目 | おすすめ設定 |
手ぶれ補正 | オンにする(機種によっては自動でオン) |
フラッシュ | 自動またはオフ(屋外では太陽光を主光源に) |
ズーム | できるだけ近づいて撮る(デジタルズームは画質が落ちるため控えめに) |
撮影モード | ビデオ撮影や「ライブフォト」を併用し、後から好きな瞬間を切り出す方法も有効 |
スマートフォンは脇を締めてしっかり構えると、ブレが減ります。
持っていかなくていい機材
学校で禁止されていることも多いと思うのですが、三脚・一脚は不要です。最近のカメラの手ブレ補正機能はとても優秀ですので、手持ちでも十分手ブレのない写真撮影できます。
もしそれでも、写真がぶれてしまう場合は、撮影時のシャッタースピードの確認、撮影当日の天候の確認(曇っている場合など、暗い場合はシャッタースピードが落ちることにより、ブレやすいです)、ピントが合っているかの確認(ピントのズレは「ブレ」ではありませんが、念の為記載しておきます)をしてみましょう。
フラッシュ(ストロボ)は、晴れた日の屋外では基本的に不要です。太陽光が十分あるため、フラッシュなしでも明るく撮影できます。
フラッシュをおすすめしない主な理由は以下のとおりです。
- フラッシュの光で子どもたちの気が散ることがある
- 周囲の保護者の方が不快に感じるケースがある
- フラッシュを使うと、顔がのっぺりとした不自然な印象になりやすい
- 晴れた日に太陽光でできた影を打ち消せるほどの光量は、業務用の大型ストロボでないと出せない
もし顔の影が気になる場合は、RAWで撮影しておき、後からRAW現像で暗部を明るくする処理をする方が、より自然な仕上がりになります。
事前準備:充電とメモリーカードの確認

運動会は一日中カメラを手に持って撮影することになると思います。前日にバッテリーはフル充電にしておき、メモリーカードの中身もパソコンに移動したり予備のメモリーカードを用意するなどして対策をしておきましょう。
運動会撮影におすすめの機材
運動会のように、晴れた日の屋外で撮影する場合の機材を紹介します。
レンズは望遠レンズ(暗いレンズも可)
運動会撮影の特徴として、被写体との距離が非常に遠いことが考えられます。そのため、写真もビデオも望遠レンズの有無が要となります。屋内イベントの違いとして、晴れの日の屋外での撮影となりますので、所謂暗いレンズでも対応できます。
一般的な一眼カメラの望遠レンズとして、70-200mmとなっておりますが、大きなグラウンドでは足りないケースが多いです。
おすすめのレンズは以下のとおりです。
【キヤノン RFレンズ】
- RF100-400mm F5.6-8 IS USM
- RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
- RF200-800mm F6.3-9 IS USM
【ニコン NIKKORレンズ(Zマウント)】
- NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S
- NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR S
【ソニー Eマウントレンズ】
- FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
- FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS
【フジフイルム Xマウントレンズ】
- XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS
- XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR
- XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR
- XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR
※フジフィルムのセンサーはAPS-Cのため、焦点距離は約1.5倍になります。
また、グラウンドは砂埃が舞っているケースが多く、グランドでのレンズ交換はできるだけ控えたほうが良いです。カメラ内部に砂埃が入り込み、センサーに付着してしまうと写真写りに影響が出てしまうほか、カメラにも良くありません。
もしカメラを複数台持っている場合には、お弁当を食べている様子や正門前の看板などを撮影するスナップ用の標準レンズを装着したカメラと、グラウンド上での競技を撮影する望遠レンズを装着したカメラ、計2台で撮影するという手もありです。
必要ならレンズをレンタルしましょう
先述したおすすめのレンズは望遠レンズや超望遠レンズと呼ばれるレンズとなっており、正直なところ運動会以外ではなかなか使用するシチュエーションが少ないレンズですし、全て安いものではありません。
そのため、レンズは事前にレンタルをするということもおすすめします。ただし、運動会シーズンはレンタル会社さんもかなり混み合いますので、早めの予約をおすすめします。
撮影機材レンタルで有名な会社は以下のとおりです。
書き込み速度の早いメモリーカード
動きの速い徒競走やリレーなど、連写モードで撮影をする場合、書き込み速度の速いメモリーカードが必要になります。目安として、V30またはClass10以上の表記があるカードを選ぶと、連写時の書き込みが止まりにくくなります。とはいえこれは、撮影する際の画質の設定(一枚あたりのファイル容量)によって必要な速度が変わってきます。
今お持ちのメモリーカードが連写に対応しているかを確認するかには、運動外の当日に撮影する画質の設定にして、連写モードで20〜30枚程度連写してみましょう。このテストでカードの書き込みが止まらないのであれば、撮影当日も同じ設定で撮影するという形でも問題ないでしょう。(ご自身のお子さんだけを撮影するという前提の場合です。途切れることなく連続で撮影する必要がある場合には、連射速度に耐えラエルスピードの書き込み速度の早いメモリーカードを準備することをおすすめします)
予備バッテリー
予備バッテリーも必要であれば事前に準備しておきましょう。ただ、バッテリーも安いものではないので、前日までにフル充電をしておき、撮影当日もこまめに電源をオフにしていれば、新しい機種でバッテリーも劣化していなければ基本的には1日持つと考えられます。
また、最近のカメラではUSB経由で充電できる機種もありますので、モバイルバッテリーなどに繋いで当日充電することもできます。
まとめ
以上が運動会でのお子さんの撮影方法となります。
グラウンド上での競技の様子だけではなく、目についた様子は様々撮影しておくと良い思い出になるでしょう。
