お遊戯会(生活発表会・学芸会)といった屋内で行われる子どもの行事の撮影は、場所が暗いにもかかわらず動きのあるお子さんが被写体となるため、慣れていないと難易度の高い撮影となります。
お遊戯会はステージ上だけではなく準備の様子や終了したあと、衣装を着たまま集合写真を撮影するなど、撮影するシーンは様々あるかと思いますが、今回はステージ上での撮影のテクニックをメインに紹介します。
お遊戯会の撮影でいちばん大切なことは「下準備」
お遊戯会だけではなくすべての撮影について言えることですが、良い写真やビデオを残すために一番大切なのは「下準備」です。
お遊戯会のように暗めの室内で、大勢の観客がおり身動きが取れないような場所での撮影の場合、以下のような点を事前に確認・注意しながら撮影に挑むとよいでしょう。
- 撮影可能な場所(カメラ席の有無・ステージとの距離)の確認
- お子さんのステージ上での立ち位置と動きの確認
- 撮影機材とカメラ設定の準備・確認
- バッテリー・メモリーカードの準備
これらの点に関して詳しくは次に解説します。
【下準備1】カメラ席(撮影席)の場所・ステージとの距離を確認
お遊戯会の撮影の場合、多くの場合は客席とステージの間にはある程度の距離が設けられています。仮にカメラ席が最前列だったとしても、お子さんのピンショットを撮影する場合、望遠レンズではない、標準的なズーム域のレンズでは対応できないケースが多いです。(標準レンズではステージ全体やお子さんの周りの雰囲気も合わせて撮影したいときに使用しましょう)
そのため、お子さんのピンショットを撮影したい場合には、望遠レンズの準備は必須になります。多くの場合で標準となる望遠レンズは「70-200mm F2.8」や「70-200mm F4」と呼ばれるズーム域でのレンズをおすすめします。(明るいF2.8のレンズのほうが暗い場所でよりきれいに・ブレを少なく撮影しやすいレンズとなりますが、F4のレンズに比べて高価です)
また、撮影可能なカメラ席が「ステージ→客席(着席)→撮影席(立ち)」などのようにステージから遠い場合も想定されます。
ステージとの距離がとても離れている場合は、客席(着席)の列数にもよるのですが、70-200mmといった望遠レンズでは、十分にお子さんにズームできない可能性がありますので、それ以上の望遠に対応したレンズが必要になります。
例えばキヤノンのRFレンズですとそれ以上の望遠レンズとなると
- RF100-300mm F2.8 L IS USM
- RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM(F値が暗いレンズとなりますので、ステージ上がとても明るい場合にしか使いにくいレンズです。屋外での運動会などの撮影にはおすすめです)
等が挙げられますが非常に高価なものとなってしまうので、お遊戯会の日程に合わせて機材レンタルする方法もあります。
撮影機材レンタルで有名な会社は以下のとおりです。
また、着席のカメラ席が2列以上になっていて、1列目との2列目以降の椅子の高さが同じ場合、2列目以上での撮影は前の方のカメラなどが被って非常に撮りにくいです。(ステージの高さが1メートル以上ある等といった場合を除きます)
特に最近は、ファインダーを見て撮影するのではなく顔よりも高い位置でスマートフォンやカメラで撮影するケースが増えているため、2列目以降の椅子からの撮影の場合、前の方の頭に加えこれらのカメラが非常にかぶりやすいのです。
その場合、1列目を取ることができなかった場合には、座り席の後ろの立ち席でも撮影が可能な場合、立ち席の最前列から撮影するという選択もあります。
【下準備2】お子さんのステージ上での立ち位置と動きを確認する
カメラ席の位置が確認できたら、次はメインの撮影対象となる自身のお子さんのステージ上の立ち位置の確認です。幼稚園や保育園で配布される事前の資料には細かな部分は掲載されていないケースが多いですが、事前にお子さんにヒアリングをするなどして立ち位置の把握をすることをおすすめします。
場合によっては組ごとに立ち位置が決まっている場合もあり、その組が資料に記載されていることもあります。
また、ステージ上でどのような動きをするかも事前にわかると撮影場所を決める参考になります。(前後を交代するだけなのか、ステージ上をぐるぐる回るのか等)
とはいえ、撮影場所は必ずしもお子さんの正面である必要はありませんし、お子さんの立ち位置を気にしすぎる必要はありません。ステージとカメラ席はある程度離れているので、基本的には真逆の方向に座ることなどがなければ撮影できないというケースは少ないです。
「事前にわかっていれば理想的」という程度の認識で問題ありません。
ただし、極端に端からの撮影は避けたほうが良いでしょう。
「肉眼で見ても他の子の手や体・衣装等が自身のお子さんに被ることなく見ることができそうか」と考えながら場所を決めると良いです。
【下準備3】撮影機材とカメラ設定を確認する
会場・ステージの暗さに注意する(明るいレンズを選ぶ)
幼稚園・保育園にもよるのですが、場合によってはステージ上が暗い場合もありますので、できるだけ明るいレンズを使用することをおすすめします。
「明るいレンズ」とは、「RF70-200mm F2.8 L IS USM」「RF70-200mm F4 L IS USM」「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」などFの次に記載されている数字(F値)が小さいものを「明るいレンズ」と呼びます。明確な基準は定められていませんが、お遊戯会のような室内での撮影の場合、ズームレンズであれば理想はF2.8のレンズを使いましょう。ただし明るいレンズは高価なケースが多いので、予算を見ながら検討されるとよいでしょう。(F4のレンズでもISO感度を上げて撮影すれば基本的には問題なく撮影できるはずです)
また、「F3.5-6.3」のように「F」のあとに二種類の数字が記載されている場合、ズームをしていない状態(ワイド端)だとF値はF3.5となり、すべてズームした状態(テレ端)だとF6.3まで変化します。ステージではほとんどテレ端付近で撮影するケースが考えられます。そのため、実質F6.3ととても暗いレンズであるので、暗い室内では使いづらいレンズとなります。ただし、ISO感度をやや高めに設定し、お子さんが大きく動かない瞬間を狙えば、ある程度のレベルで撮影することは可能です。レンズを買い替える前に、まずは設定の工夫を試してみましょう。
場合によっては、会場で普段とは違って明るい照明が焚かれている場合もありますので心配な場合には事前に幼稚園・保育園の先生に確認するのも良いでしょう。
シャッタースピードは1/250〜1/500が目安
ステージ上のお子さんは色々な動きをすることが想定されます。そのため、撮影時はある程度早いシャッタースピードで撮影されることが求められます。
シャッタースピード優先やスポーツモードで撮影することをおすすめします。慣れていればマニュアルでも良いでしょう。
シャッタースピード優先などでシャッタースピードを設定する際には、1/250〜1/500秒を目安にするとブレが抑えやすくなります。ダンスや劇など動きの大きいシーンでは1/320〜1/500秒程度を目標にすると確実です。ISO感度をやや上げてでも、まずこのシャッタースピードを確保することを優先しましょう。
絞りはF2.8前後(余裕があれば少し絞る)
被写体が自身のお子様一人だけの場合、ISO感度の関係を考えると場合によってはF2.8程度での対応でも良いでしょう。ただ余裕があれば少しだけ絞って撮影するとよいでしょう。ただし無理に絞り込むことで、被写体ブレやISO感度を上げすぎることによるノイズを考えると、絞りをある程度開けて撮影することをおすすめします。
F値が低い場合、背景がぼけやすくなりますが、被写体が1名となるため、お子様の奥にいる他の子どもがボケて映ることは特に問題ないと考えられます。
ISO感度は1600〜4000
ISO感度は、対応するカメラによって許容範囲が変わってきます。
最新のカメラであればISO3200〜4000の間でもノイズが目立たないものも多いので、事前に自身のカメラの許容範囲を確認しておくと良いでしょう。
ISO感度は必ずしも高くする必要はありませんが、前述のシャッタースピードやF値とのバランスで、感度を上げる必要がある場合には、容赦なく感度を上げてしまって問題ないでしょう。
(多少のノイズと被写体ブレの有無を比較した場合、被写体ブレが少ない写真が良いのではないか…と考えています)
ホワイトバランスは「オート」(慣れていればマニュアル設定かRAW現像で対応)
色温度はステージ上の光源によって大きく変動するので、まずはオート(AWB)で撮影することをおすすめします。近年の会場ではLED・タングステン・スポットライトなどが混在するケースが多く、マニュアル設定では対応しきれないことも少なくありません。
AWBで撮影した結果、顔色がオレンジや赤みがかって見える場合のみ、「電球(タングステン)」「白色蛍光灯」などのプリセットを試してみましょう。目安としては、タングステン光源だと3300K周辺、LEDや蛍光灯の場合は5000〜5500K周辺が適正な場合が多いです。
また、RAW現像に対応したパソコンやソフトウェアをお持ちの場合は、RAWで撮影しておくと後から色温度や明るさを自由に調整できるためおすすめです。
【下準備4】バッテリー・メモリーカードを万全にしておく
お遊戯会の撮影中、バッテリー残量によっては途中で切れてしまう場合があります。前日に必ずフル充電しておきましょう。
また、たくさん撮影することが考えられます。撮影中にメモリーカードがフルになってしまうと撮影することができません。前日までにパソコンなどにデータを移動するか予備のメモリーカードを準備しておきましょう。
写真を撮影するか動画を撮影するか事前に決めておく
お父さん・お母さんで写真を撮影するか動画を撮影するか、担当を事前に決めることをおすすめします。
もし撮影係が一人の場合は、写真をメインに撮影するか・動画をメインに撮影するかを決めておくと良いでしょう。
レアケースではありますが三脚の持ち込みがOKの場合だと、動画は三脚に据えて(お子さんが移動しても良いように少し引き気味で)撮影しながら、写真は手持ちで撮影するという方法も最前列であれば対応可能でしょう。
フラッシュ(ストロボ)・三脚はおすすめしません
フラッシュ(ストロボ)はおすすめしません
ビデオ撮影をされている方もいらっしゃいますので、ビデオにフラッシュが何度も映り込むことでビデオ撮影の邪魔となってしまう場合があります。
また、最近のカメラは高感度耐性がとても優秀なので、フラッシュを使用せずにその場の光だけで撮影する形がより自然な写真として撮影しやすいです。
三脚はおすすめしません
写真撮影の場合、三脚に慣れていなく撮影に適した三脚でなかったり三脚での写真撮影に慣れていない場合、カメラワークをしづらくなり、逆に撮影が難しくなる可能性が高いです。
特に安価な三脚であれば、写真撮影には使用されないことをおすすめします。
動画撮影の場合も、三脚に慣れていない場合は手持ちでの撮影が確実にお子さんをフォローすることができるので、手ブレ補正機能の強いビデオカメラを使用して手持ちで撮影することをおすすめします。
動画を撮影する場合には定点でカメラを置きっぱなしにする場合などでは良いでしょう。
また、根本的なことなのですが三脚は場所を取ってしまう関係上禁止にしている幼稚園・保育園が多いです。仮に禁止されていない場合も、カメラ席は非常に狭いケースが多く、座り席の最前列である場合を除き、三脚の足を広げることすらできないでしょう。
三脚ワークは思いの外大変で、三脚ワークに集中しすぎてしまったあまり、お遊戯会を肉眼で見ていなかった、という事も起きてしまいます。
いちばん大切なのはお子さんの写真や映像を撮影することではなく、肉眼でお子さんの晴れ姿を見てあげることだと私は考えています。
まとめ — 撮影に集中しすぎず、肉眼でも楽しんで
以上がお遊戯会での子どものステージ写真の撮り方となります。
私自身もそうなのですが、「撮影モード」に入ってしまうとどうしても撮影に集中しすぎてしまいます。文中にも記載をさせていただいたのですが、お子さんの頑張っている姿を是非ファインダー越しだけではなく、肉眼で目に焼き付けていただければと思います。
